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PNC TJ1636 97-002, 73 Pages, 1997/03
本研究は、試料液滴の粒径分布の狭い狭分散噴霧を用いて、噴霧熱分解法により硝酸セリウム溶液から二酸化セリウム粒子を生成した。そして、その熱分解過程、または、生成粒子に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的とし、生成条件が生成粒子の粉体特性に及ぼす影響に関して検討した。特に、試料の初期液滴径、初期濃度、気流温度に着目し、それらが生成粒子の粒度分布、および、その形状に及ぼす影響を明らかにした。生成粒子の粒径を、画像処理法により測定した結果、硝酸セリウム溶液の熱分解過程において、試料液滴は一段または二段階の発泡による飛散、または分裂により、生成粒子の粒度分布は初期液滴の分布に対して広く、その粒度分布には、二つのピークが存在し、そのピーク値は生成条件によらず、頻度のみが変化する。そして、その平均粒径は、初期液滴径および初期濃度の増加にともない大きくなり、気流温度の上昇にともない小さくなる、また、電子顕微鏡により生成粒子を観察した結果、生成粒子の形状は、表面に空孔を有し、表面の粗いものであるが、中空状でその外殻は多孔状である。
河村 和広
PNC TN8600 92-001, 86 Pages, 1992/01
米国ブラウン大学化学部Aaron Wold教授の研究室で,噴霧熱分解法を用いシリコン板上に酸化ジルコニウム膜を付ける実験を行い,膜特性を評価した。噴霧熱分解法の特徴は超音波振動で原料溶液を霧化させるため原料の揮発性に関係無く炉内へ原料を供給でき,大気圧中比較的低温(500程度)で熱分解させることができるとともに緻密で良好な特性を持った各種の膜を作製できることである。本研究では,原料溶液としてジルコニウムアセチルアセトネートのエチルアルコール溶液を使用し,熱分解後シリコン板上で成長した非晶質膜を酸素中で焼成(800)し,結晶化させた。膜付け,焼成のプロセスを繰り返すことにより厚膜を作製した。原料中の不純物問題,均一な膜付けのための最適条件探し,膜の割れ問題,原料供給部の管閉塞など数々の問題を解決し,最高3mの膜割れの無い均質な膜を作製できた。一年間の研究生活を通して習得した事項としては,1徹底した再現性の確認,2一歩一歩研究を進めていくやりかた,3産業界のニーズをとらえた研究テーマの選定,4論文化を念頭においた実験の進め方,5研究・発表の指導法,6研究コストの認識などがあげられる。材料製造技術としては,膜付け技術を習得することによりバルク材料に無い耐熱性,耐食性をもった材料の開発,廃棄物処理法への適用などを検討できるようになり,幅広い技術分野を見渡せるようになった。また二次出張(米国原子力学会,米国材料学会)では,アクチニド回収・核変換技術開発,処分技術開発の現状を知ることができた。米国で生活して米国を内側から知れただけでなく,日本についても再認識できた。また同じ研究室にいた中国人,韓国人と接することでアジアを知るきっかけともなった。これらの経験を今後の研究開発,生活に生かしていきたいと思う。